大規模な採用活動を行う際に、パート・アルバイトを自社で雇うのか、それとも派遣会社等の人材サービスを利用するのかは、目的や予算によって判断が分かれます。
具体的には、直接雇用と間接雇用、それぞれのメリットやデメリットを天秤にかけて、もっとも理想的なバランスを検討することになるでしょう。
この記事では、パート・アルバイトの直接雇用・間接雇用について、雇用形態ごとの違いやメリット・デメリットも含めて解説していきます。
直接雇⽤とは?間接雇⽤との違いを確認
直接雇用と間接雇用の違いは、つまるところ使用者と労働者との「関係性の違い」と言えます。
以下に、直接雇用と間接雇用がどう違うのかに触れつつ、具体的な雇用形態についても解説します。
直接雇⽤とは?
直接雇用とは、使用者が労働者と直接的な雇用契約を結ぶ雇用形態のことです。
これに対して間接雇用とは、就業にあたり労働者の指揮命令は使用者が行うものの、契約上は労働者の間に第三者が介在する雇用形態のことです。
直接雇用では使用者が労働者に給料を支払いますが、間接雇用では労働者に介在する第三者が労働者に対して給料を支払います。
一般的な働き方は、どっちの雇用形態?具体例で紹介
現代では様々な雇用形態が生まれており、どの雇用形態が直接雇用・間接雇用に該当するのか、一概に判断できないケースも少なくありません。
そこで、いくつかの雇用形態を例にとり、それぞれの雇用形態が直接雇用・間接雇用のどちらに該当するのか、大まかにご紹介します。
なお、ギグワーカーという言葉は比較的最近生まれたもので、どのような雇用関係とするのかは、企業や求人媒体・サービスによって大きく異なります。
以下の記事で、ギグワーカーの雇用形態について詳しく解説しておりますので、より詳しく理解を深めたい方は、ぜひ一度目を通してみてください。
直接雇⽤と間接雇⽤を3つのポイントで比較
直接雇用と間接雇用を比較した際、働き手の立場から見れば待遇面での違い、雇用側の立場から見れば責任範囲の違いが気になる方が多いかと思います。
しかし、それだけではなく、スタッフにどこまで仕事を任せられるのかについても、期待値の面でも差が生じます。以下に、直接雇用と間接雇用における違いについて、待遇面・雇用側の責任・期待値という観点から考察します。
労働者に支払う給与・手当について
直接雇用は、雇用形態が幅広い分だけ、労働者に支払う給与にも幅が生まれます。
これに対して間接雇用は、基本的に派遣会社など労働者を雇用している側が給与を支払うので、自社で決定する必要ありません。
労働者が期待するものの一つに、安定した雇用と収入があげられます。直接雇用の場合、給与額や手当の不満の矛先は自社に向かいますから、仕事内容と収入の関係性をスタッフにきちんと説明できるマネジメント能力が求められます。
間接雇用の場合は、労働者が仕事内容等に納得していれば、収入や待遇面は派遣元の企業が定めているものなので、労働者と直接衝突が起こる可能性は低くなります。
なお、優秀な派遣人材を直接雇用したいと考えた場合は、派遣会社でもらっていた給与・待遇に釣り合う条件を用意できるのかが検討するポイントとなるでしょう。
各種保険の加入について
直接雇用によって人材を採用する場合、原則として保険加入手続きは自社で行います。
そのため、自社で大量に人材を採用する場合、加入手続きの労務負担が大きくなります。
これに対して間接雇用の場合、スタッフの保険加入手続きは派遣会社側で行うため、労務面での手間は軽減されるでしょう。
最終的には、採用人数と予算の兼ね合いで判断することになりますが、少なくとも労務担当者の負担を軽減する観点からは、間接雇用のメリットがあると言えそうです。
パート・アルバイトに関わる保険の中で、気になるのが社会保険の加入かと思います。パート・アルバイトの社会保険加入の条件や義務、手続きに関しましては、以下の記事をご覧ください。
仕事の成果について
自社と労働者との間に直接雇用関係が生じているなら、経営陣が指示を出すのは自由です。能力に応じて、様々な仕事を割り振ることができるでしょう。
しかし、間接雇用の場合、勤務期間が短かったり、直接雇用と比べて採用に至ったニーズが明確だったりすることもあって、どうしても業務範囲を限定して仕事を任せざるを得ません。
その結果、優秀なスタッフを直接雇用していた場合に比べて、チャンスロスが生じてしまうおそれがあります。
雇用形態から考える、直接雇用と間接雇用のメリット・デメリット
直接雇用・間接雇用を比較するために、それぞれの雇用形態のメリット・デメリットを理解しておくとよいでしょう。
以下に、主なものをご紹介します。
直接雇用のメリット・デメリット
直接雇用は、間接雇用に比べて長期の雇用契約を結ぶことが前提となるため、労働者が自社に対して安心感を持ちやすくなります。
社員同士のコミュニケーションも活発になりやすく、社員の定着率も高くなる傾向にありますから、優秀な人材を自社にとどめたい場合は有効です。
一度採用すると、労働者を会社都合で退職させるのが難しいですし、定期的に社員教育の機会を設ける必要もあります。
また、社会保険・退職金・福利厚生など、給与だけでなく福利厚生の面でもコストがかかります。
長い目で見て必要な労働力を直接雇用で対応する必要があるか、検討が必要となります。
間接雇用のメリット・デメリット
企業の戦略上、どうしても一定期間だけ人員を補充したい場合、間接雇用は効率的な選択肢です。
自社で長期間の研修・教育を行う必要もなく、一定のスキルは担保されていることが多いため、定型業務を派遣スタッフに任せることは、必要な労働力を一時的に確保するのに役立ちます。
ただ、長期的に雇用するとなると、スキル相応の出費を覚悟しなければなりません。さらに、派遣社員の派遣期間は最長で3年と定められています。(参考:厚生労働省・都道府県労働局「平成27年労働者派遣法改正法の概要」)
長い目で見て人材の入れ替えを想定したマネジメントが求められますから、人材育成の観点から見ると、間接雇用はデメリットの要素が大きい選択肢とも言えます。
派遣サービスにおける手数料の相場をまとめた記事を紹介します。参考にしてみてください。
まとめ
雇用形態によって、異なるメリットやデメリットがあります。自社に求められる労働力を補うために適した雇用形態を検討し、採用計画を考えることが大切です。
また、直接雇用といっても長期の雇用契約であるものから、1日限りの短期の雇用契約もあるため、働き手をどのように雇用するのか深く意識すると、より柔軟な採用活動が実現できるでしょう。