どの派遣会社を利用しても、労働者の派遣に対するマージンはかかります。
派遣に対するマージンは、そのすべてが派遣会社の利益となる訳ではなく、労働者を派遣する上での経費や法的な処理に対するサービスの対価なども含まれています。
派遣バイトサービスを利用している企業の人事担当者は、各社のマージン率やその相場を抑えておくのと同様に、派遣会社毎のマージン率の内訳を確認することで、人材やサービスの質を事前に見極めるのに役立ちます。
この記事では、派遣バイトのマージン率に関しての説明や相場、一般的な派遣会社のマージン率の内訳について解説します。派遣サービスを適切に利用できるように、理解を深めておきましょう。
派遣バイトに関連して、日雇派遣として雇用できる業務などに関してはこちらの記事で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
派遣会社のマージン率とは?
そもそも、派遣会社のマージン率とはどのような料率で、どういった目的で納められているのでしょうか。以下に、派遣会社のマージン率について、基本的なルールや相場観について解説します。
「マージン」とは、分かりやすく言えば手数料のこと
人材派遣会社におけるマージンとは、かんたんに言えば派遣会社側の利益に近いもので、紹介料という解釈になります。基本的な考え方としては、派遣料金から派遣労働者に対する賃金を差し引いた残りの金額が、マージンとして計算されます。
「マージン」とは、分かりやすく言えば手数料のこと
派遣バイト・日々紹介のサービスを利用すると、一定の料率をかけた料金が派遣料金として請求され、その料率が「マージン率」と呼ばれます。
マージンが派遣会社側の利益ということであれば、当然ながら利益なしで会社を運営するわけにはいきませんから、企業活動の対価として派遣先企業に請求するのは当然と言えます。
派遣会社を利用した場合、単純計算で「派遣労働者の賃金+マージン」を派遣料金として支払います。ただ、マージン率は業種によって異なります。
例えば、IT関連のマージン率が高いのに対して、事務や建設に関係する業種は低めだったりします。なお、マージン率は、以下の公式で求められます。
{(派遣料金の平均額-派遣労働者の賃金の平均額)÷派遣料金の平均額}×100=マージン率
仮に、ある派遣会社における事務員の派遣料金の平均額が12,000円で、派遣労働者の賃金の平均額が9,000円だったとしたら、
{12,000-9,000)÷12,000}×100=25
となり、マージン率は25%となります。
派遣会社を利用すると「支給金額だけでなくマージン率分の費用も発生する」と押さえておくとよいでしょう。
マージン率の相場はどのくらい?
派遣会社のマージン率について、法律上は明確に上限・下限が定められていません。
理論上は高いマージンを受け取っても問題はありませんが、マージン率が高すぎてしまうと、当然のことながら派遣先からの利用が少なくなってしまいます。
市場の状況や個々の業界によって相場は変動しますが、大手派遣会社のパーセンテージを確認する限り、マージン率の相場は20~30%の間となっています。
まとまった人材・優秀な人材を確保するのが難しい業種は、マージン率が30~40%になることもあるでしょう。
なお、派遣会社のマージン率は、2021年4月の労働者派遣法改正によって、Web上で公開義務が課せられています。派遣会社のマージン率を知りたい場合、各社の派遣事業状況を確認するとよいでしょう。
なぜ派遣会社のマージンの内訳は?
マージン率がチェックできると分かったら、人事担当者の心理としては、少しでもマージン率を低くしつつ、質の高い派遣バイト等の労働力を確保したいと考えることでしょう。
しかし、良質な派遣バイトの確保には、マージンの存在が不可欠です。派遣会社は、教育訓練費や福利厚生費など各種経費が含まれた費用からマージン率を設定しています。
働きやすい環境であればあるほど、派遣労働者の確保もしやすく士気も高くなりますから、一概にマージン率の高低がコスパに直結しているとは言い切れないのです。
派遣会社・日々紹介を利用する際は、単純なマージン率の高さだけに意識を奪われず、マージン率の内訳を確認するとよいでしょう。
日々紹介に関して、仕組みなど詳しくはこちらの記事で紹介しています。
派遣バイトを雇うにあたり、原価・利益についてイメージしよう
派遣バイトの派遣料金について、もう少し詳しく掘り下げて考えるなら、具体的な原価・利益についてイメージすることをおすすめします。
例えば、一般的なマージン率は、以下のような内訳となっています。
※引用元:一般社団法人日本人材派遣協会「派遣料金の内訳」
派遣労働者の賃金を除くと、経費の割合が多くなっています。
また、社会保険料などの割合も少なくなく、営業利益はごくわずかということがわかります。
経費に関しては、教育訓練費・福利厚生費だけでなく、有給休暇・募集採用・労務管理・光熱費といった各種経費にもマージンが使われています。
ごく一部の悪徳な派遣会社を除いては、派遣会社のマージンは、労働者の派遣を運営するために必要不可欠な経費であることがわかります。
マージンを支払ってでも派遣会社を利用するメリット
相場を踏まえて正当にマージンを取っている派遣会社の存在は、派遣先企業にメリットをもたらします。以下に、具体的なものをいくつかご紹介します。
人材雇用に関する手続きが楽になる
自社で人材を雇用する場合、スタッフの入社時は社会保険・雇用保険などの手続きが必要になりますし、給与計算の手間が増えます。
しかし、派遣会社を利用すると、保険・労務手続きといった人材雇用に関する手続きを自社で行う必要がなくなります。
急な人員確保や人数調整がしやすい
条件の良い派遣会社には、経験豊富あるいはハイスキルなスタッフが集まりやすくなります。
マージン率の高い派遣会社のすべてが、必ずしも高水準の派遣人材をストックしているとは限りませんが、納得のいく仕事をしてくれる人材を探しやすくなるでしょう。
人事の立場からすれば、スタッフの量・質ともに充実した派遣会社を選んだ方が、短期的な人材雇用をスピーディーに進められますし、細々とした人員確保の調整の手間もなくなります。
スポット雇⽤の仕組みを内製化して、コスト削減しているケースも
短期・超短期といったスポット雇用を行う場合は、必ずしも派遣会社・日々紹介だけが選択肢とは限りません。
最近では、スポット雇用の仕組みを自社で内製化して、派遣コスト削減につなげているケースも少なくありません。
例えば『matchbox』は、開発不要・低コストでスポット雇用できる仕組みを内製化することができるため、導入企業様の多くで安定的な人材の確保・コスト削減を達成しています。
派遣会社の利用のみに依存してしまうと、手数料を払い続ける必要があるので、派遣コスト削減のための選択肢の一つとして、サービスの利用を検討するのも良いでしょう。
まとめ
派遣バイト等のマージン率は、派遣会社や地域によって変動します。
また、派遣会社がマージンを取っていることは、結果的にスタッフの質を高めることにも貢献しています。
重要なのはマージン率の低さではなく、適性かどうかであることを踏まえて、派遣バイトの確保を検討しましょう。