正社員の定年に伴い、65歳を迎える定年退職者をアルバイトとして再雇用する動きは、日本の退職者活用における最適解として、その必要性が広く認知されつつあります。

厚生労働省の「平成20年高年齢者雇用実態調査結果」によると、継続雇用した労働者の雇用形態におけるパート・アルバイト勤務者の割合は、勤務延長者がいる事業所では22.3%・再雇用者がいる事業所では15.0%となっており、2021年時点よりも10年以上前からアルバイト雇用のニーズがあったことを示しています。

また、正社員の定年に限らず、OB・OGの活用を検討する企業は、それぞれで異なる名称の制度を独自に導入しています。このような動きは、少子高齢化が進む日本において、全国的に拡大するものと予想されます。

ただ、実際に自社に導入を試みる場合、どのような制度を作り込む必要があるのか、人事・採用の観点から見ると「うまくいっているモデルケース」の情報が欲しいところでしょう。

そこで、この記事では、主にアルバイトに焦点を絞りつつ、企業の再雇用制度について具体例をいくつかご紹介します。

さまざまな企業で取り組まれているパート・アルバイトの退職者活用

一口にパート・アルバイトの再雇用制度・退職者活用といっても、それぞれの企業文化によって、どういった仕組みを設けるべきか判断は分かれます。

それゆえに、企業が取り組んでいる制度も色々な呼び方に分かれており、具体的には以下のような名称のものがあります。

  • アルムナイ制度
  • カムバック採用
  • おかえりクルー
  • ハッピーリターン制度
  • ジョブリターン制度

よって、これら一つひとつの共通点を洗い出していくよりも、自社の事業形態に似た企業が導入している例を学んだ方が、自社にとってフィットする制度を構築しやすくなるでしょう。

メリットいっぱいのパート・アルバイトの退職者活用

退職者活用には様々なメリットがあります。
以下に、主なものをご紹介します。

1. 仕事を覚えているから即戦力になる

新人を一人前のスタッフに教育するまでの期間は、仕事の内容や本人の能力によっても異なりますが、概ね3ケ月~半年ほどになるでしょう。

しかし、人によってはもっと時間がかかるかもしれませんし、教育の過程で新人が店舗・企業になじまず退職してしまうおそれもあります。

業務や社風などについて一から教育する必要がある新人とは違い、退職者を活用する場合は「すでに仕事を覚えている」点が大きなメリットになります。

また、社内の事情に精通している分だけ、組織の理にかなう判断能力も期待できます。チェーン店であれば、多店舗の退職者を活用する方法も選べます。

即戦力として働いてくれるだけでなく、職場のムードメーキングやサポートなど、勝手を知っている人材ならではの対応力が得られるとしたら、企業にとってはこれほどありがたいことはありません。

教育コストを減らしつつ戦力の補充を行いたい企業にとって、パート・アルバイトの退職者活用は大いに魅力的な選択肢です。

2. 採用手続きを簡略化。すぐ採用、すぐ働いてもらえる!

採用手続きの面においても、退職者活用は非常に優れています。スタッフの情報が企業内に存在しているため、採用手続きを簡略化した上で、すぐに採用・配置が可能です。

もちろん、ブランクが長い人材を採用する場合、すぐに現場になじんでくれるとは限りません。

とはいえ、新人を教育するよりは早めの戦力化が期待できるため、企業として積極的にOB・OG採用を行う価値は十分にあります。

最近まで別の店舗で働いていた人材なら、基本教育を省ける分だけ教育時間も削減できるでしょう。即戦力が欲しいなら、退職者活用のウエイトを増やすことを選択肢に含めておきたいところです。

さまざまな企業のアルバイト再雇用制度を紹介!

企業独自の再雇用制度を設けて、かつて働いていたスタッフを雇い入れようとする動きは、少しずつ日本社会で活発化しています。

また、OB・OGにとって少しでも魅力的に映るよう、再雇用制度の名称にも工夫がほどこされています。

以下に、よく名前を知られているアルバイト再雇用制度について、いくつか概要をご紹介します。

1. おかえりクルー

すかいらーくグループでは、学生時代にアルバイトしていた人や、育児・介護・独立・転職などの事情で退職した従業員を受け入れられるよう、元社員・元クルー向けの採用情報サイトを運営しています。

働くエリアやお店・メリットなど、様々な条件から働く場所を選べるため、就業者それぞれの立場で情報収集ができます。

2. ハッピーリターン制度

亀田製菓株式会社のお菓子「ハッピーターン」にかけた退職者登録制度で、社員のワークライフバランスに合わせて働き方の選択肢を増やすことを目的に、2015年11月から導入されています。

勤続3年以上の社員が対象・退職後6年以内の復職が条件となるなど、細かい条件も定められています。

3. カムバック採用

株式会社良品計画株式会社あきんどスシローなどで導入されている制度で、正社員・アルバイトそれぞれで条件を設けています。

良品計画の場合、応募フォームにカムバック採用を利用する旨を記入した上でエントリー・応募という流れをとり、面接に合格すれば入社となります。

株式会社あきんどスシローでは、スシローアルバイト求人サイトから希望する店舗の募集情報を確認して、面接の場で勤務経験を伝える流れとなっています。

パート・アルバイトの退職者活用のために必要なことは?

退職者活用に向けて整備をするメリット・事例について理解したら、実際に自社に制度を導入することを検討する段階に入ります。

しかし、他者の事例をそのまま取り入れるだけでは、自社の事情にマッチした制度を作り上げるのは難しいでしょう。

制度として運用することを想定しつつ、採用を簡略化できる準備を整えていけば、人事の負担は軽くなります。

以下に、パート・アルバイトの退職者活用のために必要なポイントをまとめました。

退職者受け入れの制度・手続きを明確にする

一口に退職者といっても、その種類は多岐にわたり、必ずしも退職者のキャリアがそのまま戦力になるとは限りません。

勤続年数や実績など、一定の形で「力になってくれそうな社員像」を可視化して、条件を満たす社員だけを受け入れられるような制度構築が求められます。

また、受け入れられる側のスタッフに対して、手続きの情報を明確に伝えられるよう準備することにも気を配りたいところです。

退職者を採用するための専用サイト・かつて働いていたスタッフ同士が集まることのできる場を設けるなどして、退職者が自社とつながっていられる環境を整えてあげることが大切です。

退職者のデータをまとめておく

円満退社した社員に限り、退職時のデータを細かくまとめておくことも、退職者活用に役立ちます。

具体的には、

  • どの店舗で
  • どのような職務につき
  • どんな働きぶりを見せていたのか

こういった情報をまとめる形です。

過去の実績を簡単に閲覧することができれば、エントリーした応募者について、一からリサーチする必要がなくなります。

また、過去に一緒に働いていたスタッフとのつながりから、評判を確認することもできます。

あらかじめデータを用意しておくことで、総じて退職者の採用・求人が簡単になるため、将来的に制度を構築するかどうかはさておき、情報は事前にまとめておくことをおすすめします。

実際に制度を運用する際のイメージを持つ

制度の運用前の段階で、制度を運用する際のイメージを持っておくと、実際に運用してからのギャップが少なくなります。

また、ギャップを想定して導入の負担が少ない仕組みを選び、試験的に運用する方法もあります。

企業にとって比較的負担の少ない方法としては、例えばギグワークプラットフォームなどのような、スポット的に働いてもらえるスタッフを探す方法があげられます。

働いて欲しい人材を幅広い層から集められれば、自社が人材不足におちいっている状況をスピーディーに解消できますし、長期的な人的コストに悩まされる心配もありません。

もちろん、その中で長く働いて欲しい人材を見つけたら、そのままパート採用へと進んでもらうことも考えられます。

matchboxなら、パート・アルバイト人材の退職者活用ができる!

退職者活用の手段として、本格的にギグワークプラットフォームの導入を検討する場合は、matchboxの活用をご検討ください。

matchboxなら、パート・アルバイト人材の退職者活用につき自社制度に合致したシステムを別途用意するよりも、ローコストかつ効率的に行えます。

退職時に「OBOG」として登録ができる

matchboxには、派遣・単発バイトを複数のチャネルから登録できる仕組みが備わっています。

データベース上、OB・OGなどの層も区別して登録できますから、経験者主体でシフトを組みたい場合も安心して人材をチョイスできます。

登録者に向けた単発バイトの求人も行えるため、急に人材の補充が必要となった場合でも安心です。

スタッフ雇用時に発生する固定費を抑えつつ、優秀なスタッフを適宜確保したい場合に、matchboxは御社の採用活動をサポートします。

働けるときに働ける

勤務する側にとっても、matchboxによる「固定シフトにこだわらない働き方」には魅力があります。

アルバイト・パートのシフトを入れてしまうと、その分だけ自由に予定を組みにくくなるため、働きたくても思うような働き方ができず悩んでいる人は少なからず存在しています。

しかし、登録バイト制を導入している企業であれば、自分の都合と店舗・企業の都合が合う時間枠を選びながら働き続けることができます。

最短1時間後のシフトから依頼することができるため、企業側は突発的な予定にも柔軟に対応できますし、働く側も変動するスケジュールの中でタイミングをうかがうことが可能です。

まとめ

アルバイトの退職者活用を検討する企業・店舗は、今後も増えていくものと予想されます。

ただ、制度や体制の構築がうまくいかなければ、思ったように人材を定着させるのは難しいかもしれません。

退職者を再び自社に呼び戻すためには、単純に制度を導入するだけでなく、制度を広く認知してもらうとともに、退職した社員同士のコミュニケーションが図られる環境づくりが大切です。

できる限り社員の立場に配慮した度を構築するのはもちろんのこと、採用のシステムそのものも退職者活用を想定したものに切り替えることが、成功への近道となるはずです。

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