本記事では、アルバイトを社会保険に加入させる条件について解説します。アルバイトは一定の条件を満たすと、社会保険への加入が必要になります。加入させないと罰則があるため、本記事を参考にして条件や手続きについて理解しておきましょう。
社会保険とは
社会保険とは、国が運営している公的な保険制度のことです。任意保険とは異なり、加入するかどうかを個人が判断することはできません。加入条件を満たした場合は、どのような方であっても社会保険への加入が必要です。
アルバイトが社会保険の加入対象となるケース
アルバイトは以下の条件を満たした場合に、社会保険の加入対象となります。
- 勤務時間と日数が一般社員の4分の3以上である
- 106万の壁の条件を満たしている
それぞれの条件について詳しく解説します。
勤務時間と日数が一般社員の4分の3以上である
アルバイトの勤務時間と労働日数が、一般社員の4分の3以上であれば社会保険に加入しなくてはいけません。わかりやすくいえば、正社員と同じくらい働いているアルバイトは社会保険に加入する義務があるということになります。
もし、アルバイトを社会保険に加入させたくないのであれば、勤務時間と日数はある程度抑える必要があります。
106万の壁の条件を満たしている
年収106万円の壁を満たしている場合も社会保険に加入しなくてはいけません。具体的な106万円の壁の条件は以下の通りです。
- 所定労働時間が週20時間以上である
- 賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)である
- 2ヵ月を超えて使用されることが見込まれている
- 従業員101名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いている
- 学生でない
上記の条件を満たしているアルバイトは、社会保険に加入させなければいけないため注意しましょう。
2024年10月以降は適用範囲がさらに拡大する
2024年10月以降は、先ほど紹介した106万円の壁の条件がゆるくなります。具体的には、従業員数101名以上が51名以上に変更となります。従業員数が少ない企業でも社会保険に加入させる義務が生まれる可能性があるため注意しなければいけません。
アルバイトが社会保険に加入するメリット
アルバイトが社会保険に加入するメリットは以下の通りです。
- 保険制度が利用できる
- 年金額が増加する
- 保険料を会社と折半できる
それぞれ詳しく解説します。
保険制度が利用できる
社会保険に加入する最大のメリットは保険制度が利用できる点にあります。保険制度が適用されていないアルバイトは、万が一のことが起こった際に補償が少ない傾向にあります。しかし、社会保険に加入していれば手厚い補償が受けられるため、アルバイトが安心して働くことが可能です。
年金額が増加する
社会保険に加入していれば、一定額を年金として納めることになるため、将来の年金額が増加します。老後の生活が不安というアルバイトには、社会保険に加入させることで安心して働いてもらえるようになるかもしれません。
保険料を会社と折半できる
自分自身で保険に加入する場合は、すべての費用を自分で支払います。しかし、社会保険であれば会社と折半して保険に入ることができます。保険料の負担が少ないという理由で、社会保険への加入を希望するアルバイトも多いです。
アルバイトが社会保険に加入するデメリット
アルバイトが社会保険に加入するデメリットは以下の通りです。
- 手取り額が減少する
- 扶養から外れる必要がある
それぞれ詳しく解説します。
手取り額が減少する
社会保険料は会社と折半するとはいえ、アルバイトの給料からも支払われます。そのため、社会保険に加入させることで手取り額は減少します。事前にアルバイトに説明しておかないと、給料が減ったと思われてしまう可能性があるため注意しましょう。
扶養から外れる必要がある
扶養の範囲内でアルバイトを行っている方が、勤務先で社会保険へ加入する場合、扶養から外れなければいけません。配偶者の扶養に入っているような場合は、相手が勤務先で手続きをしなければいけない可能性もあるため注意が必要です。
扶養から外れる際に手間がかかる可能性があることを理解しておきましょう。
アルバイトが社会保険加入を拒否している場合の対応
先ほど紹介した条件を満たしているにも関わらず「扶養から外れたくない」「手取りを減らしたくない」という理由で、社会保険の加入を拒否されるケースもあるでしょう。しかし、拒否されたからといって社会保険への加入をしなくても良いというわけではありません。
アルバイトには丁寧に説明をして、社会保険の加入手続きをおこなう必要があります。もし、それでも社会保険の加入を断られる場合は、勤務時間の調整を行わなければいけません。
アルバイトを社会保険へ加入させないと罰則がある
条件を満たしているアルバイトを社会保険へ加入させないと、事業主に6ヶ月以下の懲役、50万円以下の罰金が課せられる場合があります。その上で該当する従業員の社会保険加入手続きを行わなければいけません。
加入義務が発生した期間まで遡って保険料を支払う必要もあるため、加入義務が発生したのに加入させないという対応はしないようにしましょう。
アルバイトを社会保険に加入させる手続き
アルバイトを社会保険に加入させる手続きにおいて、知っておくべきポイントは以下の通りです。
- 手続きをおこなう期間
- 手続きの申請先
それぞれ詳しく解説します。
手続きをおこなう期間
社会保険は加入義務が発生してから5日以内に届出を出さなければいけません。「健康保険・厚生保険被保険者資格取得届」に必要事項を記載して提出すればOKです。手続き用紙は年金事務所や健康保険組合から取得可能です。
日本年金機構のホームページからもダウンロード可能なため、書類の準備に困る心配はないでしょう。
手続きの申請先
社会保険の手続きは日本年金機構もしくは健康保険組合の窓口で行います。電子申請や郵送での提出が認められているため、すぐに提出をしなければいけない場合でも対応が可能です。
2024年10月以降の社会保険適用拡大に備えてやっておくべきこと
2024年10月以降は社会保険の適用が拡大されます。それに伴って、以下の対応を企業は行わなければいけません。
- 対象者を確認する
- 書類を作成する
- 従業員とコミュニケーションを取る
- 社内に案内をする
それぞれについて詳しく解説します。
対象者を確認する
まずは社会保険に加入させなければいけない対象者の確認を行いましょう。既に条件を満たしているアルバイトがいる場合は、速やかに書類作成を行わなければいけません。
また、現時点では条件を満たしていなくても、いずれ満たすと予想されるアルバイトもいるでしょう。アルバイトそれぞれの勤務時間や給与を把握しておくことで、社会保険加入の対象者を判別しやすくなります。
書類を作成する
社会保険に加入させなければいけない対象者が既にいる場合は、書類の作成を行わなければいけません。適用が拡大された時点で社会保険の加入義務が生じるのであれば、現時点で書類作成だけを済ませておくのがおすすめです。
しかし、従業員側も社会保険の適用拡大については知らない可能性があります。今までと同じように働いているにも関わらず、なぜ社会保険加入が必要なのかと思ってしまうかもしれません。
そのため、社会保険に加入させなければいけない従業員には、早めに説明をしておく必要があります。何度も述べていますが社会保険の加入は義務であり拒否はできません。従業員には納得してもらわなければいけないため、根気強く説得しましょう。
従業員とコミュニケーションを取る
現時点ではどの従業員に社会保険の加入義務が発生するかわからない場合もあるでしょう。そのため、従業員全体に説明をしておくことが大切です。具体的には社会保険に加入するメリットやデメリットについて話しておきましょう。
社会保険加入が必要な条件についても説明しておくのがおすすめです。早めに条件について案内をしておけば、社会保険に加入したくないアルバイトは、自分で勤務時間を調整することが可能になります。
気づかないうちに条件を満たして加入せざるを得なくなるケースは多いです。社会保険に加入する条件は早めに伝えておいた方が良いでしょう。
社内に案内をする
従業員と話すだけでは社会保険の重要性について理解をしてもらえないかもしれません。そのため、会社内の掲示板に社会保険に関するルールの変更の案内を出すのがおすすめです。掲示しておけば、従業員が時間がある時に案内をチェックしてもらえるでしょう。
また、社会保険の加入手続きの対応をする方に案内をしておくのも大切です。今まで以上に加入手続きが増える可能性があるため、早めに準備をしておきましょう。
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出典:matchbox.jp
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アルバイトの社会保険加入の適用拡大に注意
アルバイトの社会保険加入条件は、2024年10月以降に変わります。今までは対応が必要なかった方も、加入手続きを行わなければいけないかもしれません。ぜひ、アルバイトの社会保険加入忘れがないように、加入条件の再チェックを行ってください。