「トラックドライバーの高齢化と早期退職で深刻な人手不足に陥っている……何かいい改善策はない?」

「人手不足で倉庫作業や配送作業に遅れが出始めている……物流業界全体が人手不足なの?」

ここ数年、深刻な人手不足に陥っている物流業界。

「業務が増える一方なのに採用したくても応募がない」「慢性的な人手不足で現場が疲弊している」など、人手不足に頭を抱えている担当者は多いのではないでしょうか。

あなたの企業だけでなく、物流業界は主に下記の5つの原因で、慢性的な人手不足に陥っています。

この状態を放置すると従業員が疲弊して離職につながるだけでなく、企業利益の縮小を招きます。

最悪の場合は、人手不足が倒産の要因になる可能性もあるのです。

人手不足があなたの企業にとって大きなリスクとなる前に、改善策を知って実践することが重要です。

そこでこの記事では、物流業界が人手不足に陥っている原因人手不足を改善する具体的な方法をご紹介します。

この記事を最後まで読めば、今なぜ物流業界が人手不足に陥っているのか原因を理解でき、適切な対策を検討できるようになります。

物流業界の人手不足は、今後加速していくと考えられています。

今ならまだあなたの企業に合う改善策を見つけられるので、参考にしてみてください。

1.物流業界が人手不足に陥っている5つの原因

物流業界の中でも陸運(トラックで荷物を運ぶ)は深刻な人手不足に陥っています。

そこでまずは、物流業界が人手不足に陥っている大きな原因をご紹介します。

人手不足の背景が分からないと対策ができないので、どのようなことが人手不足につながっているのか確認しておきましょう。

物流業界が人手不足に陥っている5つの原因
原因1.時間外労働時間短縮により運送能力不足に陥っている原因2.ドライバーの高齢化が進んでいる原因3.求人はあるものの採用できる人材が少ない原因4.宅配貨物の増加により負担が増えている原因5.属人化している業務が多い

1-1.原因1:時間外労働時間短縮により運送能力不足に陥っている

2024年4月より、改正された自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)が適用されました。

労働者の健康と安全確保などを目的に、トラックドライバーの拘束時間や休息時間が下記のように変更されました。

法定時間従来2024年4月以降
1年の拘束時間3,516時間原則3,300時間
1ヶ月の拘束時間原則:293時間最大:320時間原則:284時間最大:310時間
1日の休息時間継続8時間継続11時間を基本として9時間が下限

※例外を除く

参考:厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」

トラックドライバーの健康促進の面では有効ではありますが、問題なのは労働時間が短くなり運送能力が低下することです。

従来は東京から大阪間を1人のトラックドライバーで運送できました。

しかし、改正された改善基準告示が適用されたことで、従来と同じ時間内に東京から大阪までを運送するには、ドライバー2人体制で対応する必要性が出てきたのです。

参考:国土交通省「物流を取り巻く現状と課題」

トラックドライバーの労働時間が減った分運送する荷物が減ればいいのですが、現実はそうはいきません。

従来と同じ量の荷物を限られた時間内で効率よく運送する必要性が出てきたのです。

この課題を解決するには

・限られた労働時間内に稼働できる人材の確保

・長距離運送時に交代できる人材の確保

が急務となり、物流業界の人手不足が深刻化する一因になっています。

【物流業界全体の人手不足につながる懸念もある】
改正された改善基準告示が適用されたことで、トラックドライバーの働き方や運送のスピード感が大きく変わりました。
これに伴い、物流倉庫やトラック以外の輸送手段など、物流業界全体の人手不足につながる懸念が出てきています。
例えば、多くの企業がトラック運送から船や鉄道などに切り替えると、別の輸送手段で人手不足が発生する可能性があります。
また、トラックの運行状況の変更により、倉庫の作業時間を変更しなければならないことも考えられます。このように、改善基準告示の適用により、トラックドライバーだけでなく物流業界全体の人手不足が懸念されています。

1-2.原因2:ドライバーの高齢化が進んでいる

海運と陸運では、ドライバーの高齢化が進んでいます。

とくに、陸運では2022年時点でトラックドライバーの約75%が40代以上と、年々高齢化が深刻化している状況です。

 

※道路貨物運送業が対象

参考:公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業状況と課題2023」

今後、定年退職などで大量のトラックドライバーが退職すると予測されています。

例えば、2022年時点で50代~60代の層が退職すると、トラックドライバーが約半数まで減ってしまうのです。

高齢層が現在の業務を支えている状態になっていることも人手不足が深刻化する一因になっています。

1-3.原因3:求人はあるものの採用できる人材が少ない

トラックドライバーの高齢化に伴い若手ドライバーの採用ができればいいのですが、求人はあるものの採用できる人材が少ない状況に陥っています。

また、厚生労働省が公開している有効求人倍率は2.37倍(自動車運転従事者)で、求人自体はあるものの採用できる人材が不足していることが分かります。

※自動車運転従事者の求人倍率

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年5月分)」

その背景には3Kのイメージが払拭できず、なかなか興味を持ってもらえない現状があります。

【3Kとは】
・きつい:仕事内容がハードだというイメージがある・危険:運転業務に携わるため危険がつきまとうイメージがある・汚い:業務内容によっては汚れるイメージがある

3Kのイメージが広まったのが随分昔の話で、現在は3Kを払拭する取り組みをしている企業が増えているものの求職者に伝わっていないようです。

また、地域によっては運転免許証を取得、保有している人が減少しています。

トラックドライバーの求人はあっても、応募要件に該当する人材が不足している側面もあります。

1-4.原因4:宅配貨物の増加により負担が増えている

物流業界は成り手が不足している一方で、宅配荷物が増加しています。

公益社団法人全日本トラック協会の調査によると新型コロナウイルスの流行を機に通販市場が拡大し、個人宅への荷物が増えている状況です。

※宅配便のみ対象(単位:万個)

参考:公益社団法人全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業状況と課題2023」

個人宅への荷物が増えたことで下記のような業務がかさみ、従来のドライバーと従業員だけでは対応しきれなくなってきています。

【個人宅への荷物が増えたことで起きている弊害】
・ドライバーの配送ルートの複雑化:1件ずつ配達するため複雑でかつ時間がかかる・再配達や不在対応の負担:再配達の対応が多く負担になっている・バックオフィス業務の増加:伝票処理や仕分けなどバックオフィス業務が増加している

このように、荷物の量とドライバー、従業員の均等が取れなくなっていることも、物流業界の人手不足が加速している原因の1つです。

1-5.原因5:属人化している業務が多い

多くの物流関連企業は属人化している業務が多く、デジタル技術やロボットを活用して業務効率化を実現するに至っていません。

国土交通省が公表している「中小物流事業者のための物流業務の デジタル化の手引き」によると、請求書発行を除き運送事業者の工程ごとのデジタル化率は20%未満に留まっています。

運送事業者の工程ごとのデジタル化率
契約や見積、受注のデジタル化4%
配車計画や手配、配車確認などのデジタル化9%
点呼や車両点検、入退館業務などのデジタル化18%
納品や検品業務のデジタル化2%
請求書のデジタル化36%

※中小物流事業者が対象

参考:国土交通省「中小物流事業者のための物流業務の デジタル化の手引き」

そのため、どうしても人の手を借りて業務を行う必要があり、一定の業務量に対応するには人材に依存している状況です。

例えば、下記の業務をデジタル化できると人手不足をカバーしつつ業務ができますが、まだまだ人の手を借りて行っているケースが多いです。

【物流業界の業務効率化の例】
・配車システムの導入:トラックの配車を自動化できるため配車に費やす時間を削減できる・受領書や受け取りサインのデジタル化:荷物の受け渡しにかかる時間を削減できる・点呼や労務管理のデジタル化:全員が集まり点呼をする時間を削減できる・日報のデジタル化:手書きで日報を記入する時間を削減できる

物流業界はデジタル化で生産性向上を実現している比率が、他の業界より低いことも、人手不足を後押しする原因になっています。

2.物流業界の人手不足は今後加速していくと予想されている

ここまで、物流業界が人手不足に陥っている原因を解説してきました。

物流業界の人手不足は今がピークではなく、今後加速していくと考えられます。

【物流業界の人手不足が今後加速していくと予測される理由】
・時間外労働時間短縮の影響が顕著に出るようになる・ドライバーの高齢化が進み定年退職者が増える・求人情報はあるものの応募者が少ない状況が続く

とくに運輸・倉庫業界の正社員の人手不足は深刻で、2社に1社以上は正社員が足りないと感じています。

正社員採用にこだわり人手不足が加速すると業務に支障が出るのはもちろん、利益縮小や人手不足による倒産も考えられます。

「いつかは人手不足が解消できるだろう」「人手不足は一時的なものだろう」と楽観視しないで、人手不足を改善する取り組みを実施していくことが欠かせません。

【政府では物流業界の人手不足を懸念して「ホワイト物流」推進運動を行っている】
物流業界の人手不足がこれ以上深刻化しないように、政府では「ホワイト物流」推進運動を実施しています。
深刻化するトラックドライバー不足を受けて安定した物流機能を維持できるように、荷主事業者や物流事業者、国民などそれぞれの立場で生産性向上や人材確保につながる取り組みを推進しています。
物流業界の人手不足は日本全体の課題として捉えられており、改善が求められているのです。

参考:ホワイト物流推進運動ポータルサイト

3.物流業界の人手不足を改善するには「就労条件」と「業務効率化」が鍵となる

物流業界の人手不足を改善するには、「就労条件」と「業務効率化」が鍵となります。

企業単位での改善ができる見込めるもの物流業界の人手不足の原因を見てみると「就労条件の改善」と「業務効率化」ができれば、人材確保につながる解決策が見えてくるからです。

ここでは、「就労条件の改善」と「業務効率化」に分けて、具体例にどのような解決策を検討すればいいのかご紹介します。

就労条件の改善策求人の応募条件の見直しをする育成制度や給与アップの基準を明確にする3Kのイメージを払拭できるアピールポイントを用意する
就労条件の改善策業務効率化ツールを活用する運送ルートや拠点の見直しをする

3-1.就労条件の改善策:求人の応募条件の見直しをする

1つ目は、求人の応募条件の見直しをすることです。

なかなか応募者が見つからない求人情報を見てみると、労働時間や年齢、経験値などを限定しているケースが多いです。

例えばトラックドライバーの求人を「30代以下の経験者」とまで限定してしまうと、応募可能な求職者数自体が減ります。

求人条件の見直しをして応募可能な求職者の範囲を広げることで、興味を持ってもらえる可能性があります。

求人条件を見直すときには、下記の項目を確認してみるといいでしょう。

見直したい応募条件
勤務形態・正社員のみではなく多様な雇用形態を導入する<例>・契約社員・アルバイト・パート
勤務時間ワークライフバランスに応じて勤務時間を調整する<例>・フレックスタイム制(決められた時間内に自由に始業・終業時間を自由決められる)・週休3日制・1日〇時間~などの時短勤務
年齢・経験社内での研修制度を充実させて年齢や経験による制限をなくす<例>・未経験歓迎・年齢制限なし・女性ドライバー活躍
職種トラックドライバーと大きな枠組みではなく細分化して記載する<例>・地場ドライバー・中距離ドライバー・長距離ドライバー・整備・事務・倉庫管理など

実際に、求人条件を見直しして応募者が増えた事例もあります。

項目概要
課題1日13時間労働、週6日勤務が応募条件だったが長期的に働き続けることが難しく早期退職につながっていた
人材確保のアイデア正社員の勤務時間を短縮して別途パートやアルバイトの募集を開始した

※改善基準告示前の事例です

項目概要
課題採用対象者を「30歳以上のドライバー経験者」に限定していたが人材確保につながらない
人材確保のアイデア・採用条件として「免許保有者」のみを残し経験や年齢の制限をなくしたところ、20代の優秀な人材の採用に成功した・将来的には免許取得の支援を実施して採用母集団の拡大を目指す

参考:厚生労働省「人材確保に「効く」事例集」

少子高齢化で労働人口が減っている中、求人の応募条件を限定すると求職者の目に留まりにくくなります。

応募条件をどの程度緩和するか検討しながら、応募者の数を増やせるように改善しましょう。

3-2.就労条件の改善策:育成制度や給与アップの基準を明確にする

2つ目は、育成制度や給与アップの基準を明確にすることです。

人材確保ができた運送事業者は、給与アップの基準の明確化や自社での教育に力を入れている傾向があります。

とくに物流業界は「未経験は挑戦しにくい」「キャリアアップしにくい」印象があります。

下記のような工夫をしてこの2つを払拭できれば求職者に安心感を得ることができ、興味を持ってもらえるでしょう。

項目具体例
育成制度・免許取得の支援・横乗り添乗教育の実施・社内研修の実施・安全に関する定例会の実施など
給与アップ基準・無違反、無事故を継続できたドライバーは給与アップ・運転距離に応じた給与体制など

育成制度では、免許取得の支援やドライバーとしての知識を身につける研修を実施しているケースがあります。

仕事をしながら免許取得が目指せるようにすることで、未経験者であっても応募しやすくなるでしょう。

給与アップ基準では、キャリアアップ例や給与アップの基準などを明確にしているケースが目立ちます。

例えば、まずは倉庫作業からスタートとしてドライバーにキャリアアップできると記載があれば、どのようなキャリア設計ができるのかイメージしやすくなるでしょう。

実際に、下記のような取り組みをしている運送業者もあります。

【育成制度・給与アップの事例】
高校生新卒者を採用し、採用後2年は倉庫作業員として物流業務や心構え・マナーなどを学びます。その後は希望者は、トラックドライバーにキャリアアップ。座学・適性診断をした後に横乗り添乗教育を1~2ヶ月実施。責任者による見極め添乗確認を終えて、プロドライバーとしてデビューします。

参考:国土交通省「トラック運送業の採用・定着に向けた取組事例、ポイントを紹介します」

求人段階で育成制度や給与アップ基準を提示することで、働き方をイメージしやすくなり安心して応募できるようになります。

3-3.就労条件の改善策:3Kのイメージを払拭できるアピールポイントを用意する

3つ目は、3Kのイメージを払拭できるアピールポイントを用意することです。

1-3.原因3:求人はあるものの採用できる人材が少ない」でも触れましたが、物流業界は未だに3Kのイメージが残っていて、興味はあるものの働きにくいのではと躊躇してしまう求職者がいます。

今の時代は働きやすい環境を整えているとアピールするためにも、下記のようなポイントを求人情報に記載してみましょう。

3Kを払拭できるアピールポイント具体例
福利厚生・社宅や寮を完備・資格所得支援(中型・大型免許取得など)・特別休暇・熱中症、感染症予防品の配布・スポーツジムなどの割引など
働き方・時短勤務、フレックスタイム制などを導入していて長時間労働の必要がない・週休二日制でしっかりと休暇がある・宿泊が必要な業務は受けていない・女性ドライバーが活躍しているなど
環境・専属整備士がいるのでトラック整備の必要がない・休憩できるカフェスペースを完備している・毎日の健康チェックがあり無理な勤務をしない・女性専用のトイレやロッカーを整備して女性が働きやすい環境を整えている

運送事業者によっては自社のホームページにトラックドライバーや倉庫作業の1日のスケジュールを記載して、無理なく働けるイメージを持ってもらう工夫をしています。

また、女性ドライバーを積極的に採用したい場合は、女性専用のトイレや更衣室、車両を整備して女性が働きやすい環境を整えているケースも見受けられます。

実際に「アサヒロジスティクス株式会社」では女性専用車両「クローバー」を導入しています。

「クローバー」は女性の意見を反映された車両で、カーテンやサンバイザーを標準装備している点が特徴です。

荷物の積み下ろしが楽になる「パワーゲート車」の導入も進めており、女性ドライバーが気持ちよく働ける環境づくりに努めています。

このように、ただ給与や就労条件を掲載するのではなく、安心、安全に無理なく働けることをアピールでできるといいでしょう。

【国土交通省では「トラガール促進プロジェクトサイト」を実施している】
国土交通省では業務内容の不安から採用に至らない女性ドライバーが多い現状を踏まえて、労働環境の改善を推進する「トラガール促進プロジェクトサイト」を行っています。
このプロジェクトでは、女性ドライバーの活躍事例や、企業向けのおすすめ施策を紹介しています。
<女性ドライバーを増やすためにおすすめの企業施策例>・女性が運転しやすい車両の導入(AT車や女性専用車両など)・女性ドライバー同士がコミュニケーションを取れる場の提供・社内コミュニケーションの促進(コミュニティスペースの設置など)
物流業界の人手不足が深刻化する中で「女性ドライバーを雇える環境ではない」と躊躇している場合ではありません。
運送事業者側で女性ドライバーが快適に働ける環境を整えていく必要があるでしょう。

参考:国土交通省「トラガール推進プロジェクト公式サイト」

3-4.業務効率化の改善策:業務効率化ツールを活用する

4つ目は、業務効率化ツールを活用することです。

1-5.原因5:属人化している業務が多い」で触れたように物流業界は、デジタル化に遅れを取っています。

自社の課題に応じた業務効率化ツールを活用できれば、限られた人材でも無理なく業務を遂行できる可能性があります。

運送事業者が活用できるツールには、主に下記のような種類があります。

工程概要ツール
管理契約・見積・受注・請求書発行電子契約や見積、受注システムを活用する
配車計画・配車手配・配車確認配車システムや配車確認アプリを活用する
点呼点呼アプリやシステムを活用する
日報・労務管理日報、労務管理システムを活用する
集荷車両点検車両点検アプリで点検状況を確認する
入館・退館入館、退館システムを活用する
輸送・納品貨物照会システムからリアルタイムで運行状況を把握する
納品・検品データで管理し電子サインを活用する

参考:国土交通省「中小物流事業者のための物流業務の デジタル化の手引き」

例えば、今まで経験に基づいて実施してきた配車計画、配車管理をツールやシステムに移管すれば、無駄な配車をなくすことができるでしょう。

それだけでなく、配車計画を作成する時間やドライバーと連携する時間を削減でき、業務効率化につながります。

もちろん、新しいシステムやツールの導入にはコストがかかり体制の整備が必要ですが、負担が大きい部分から少しずつ進めると業務効率化が実現できるでしょう。

【運送事業者のツール・システム導入は他社との連携が必要なケースがある】
物流業界の場合は他社の同意や協力がないと、システムやツールの導入が進まないケースがあります。
例えば、倉庫業務と運送業務の両者に関係「入館、退館」などのする部分は、倉庫業務の連携がないとシステムやツールの導入が難しいです。
運送事業者のみで効率化を推進できない範囲は、周囲を巻き込みながら少しずつ進める必要があるでしょう。

3-5.業務効率化の改善策:運送ルートや拠点の見直しをする

5つ目は、配送ルートや拠点の見直しをすることです。

1-4.原因4:宅配貨物の増加により負担が増えている」という背景がある中で、無駄のある配送ルートでは余計な時間がかかります。

下記のポイントを見直して、限られたドライバーで効率よく業務ができるようにしましょう。

【配送ルートを最適化するときのポイント】
・時間のロスにつなげるルート計画になっていないか・配送ルートの重複が起きていないか・配送ルートの混雑時間を配慮しているか

昨今は、配送ルートを最適化するツールやアプリを活用して、リアルタイムでのルート変更やAIによる最適なルート提案などを取り入れているケースもあります。

また、物流拠点は、人手不足を踏まえた統廃合や移転、新設を検討できるでしょう。

【物流拠点の見直しのポイント】
・統廃合:業務効率化と人手不足を踏まえて拠点を統廃合する・移転:インフラ整備が進んでいる地域に拠点を移転する・新設:リードタイムの短縮につながる地域に拠点を新設する

ただし、物流拠点の見直しは費用がかかるため、短期的な人手不足施策というよりも中長期的な施策として検討してみてください。

【物流業界では荷待ち問題の改善も求められている】
物流業界の人手不足を改善するために、荷待ち問題の改善も求められています。
荷待ち問題とは荷主や物流施設の都合によりドライバーの待機時間が発生し、長時間労働やドライバー不足の一因となっていることを指します。
荷待ち問題は物流業界全体で取り組むべき課題であり、配送時間の予約システムの導入やパレットの標準化などを進める必要があるでしょう。

4.物流業界の人材確保は外部に依存しないで「内製化」が重要になる

物流業界は慢性的な人手不足に陥っているだけでなく、今後も人手不足が加速していくと考えられています。

そんな中で外部からの人材採用のみに依存していると「なかなかいい人材が見つからない」「せっかく採用にしたのに辞めてしまった」などの悪循環に陥る可能性があります。

そこで、物流業界の人材確保は外部からの採用に頼るのではなく、自社で「必要なときに」「必要な人材」を活用する内製化が重要です。

ここでは、物流業界の人材確保は内製化が必要な理由を解説していくので、参考にしてみてください。

物流業界の人材確保は内製化が必要な理由
1.柔軟な働き方を望む人材を取り込める2.自社の業務を熟知しているOBやOGにもアプローチできる

4-1.柔軟な働き方を望む人材を取り込める

人材確保を内製化できると、柔軟な働き方を望む人材を取り込みやすくなります。

昨今は育児や介護、家庭の事情などで、正社員として働くことが難しい人が増えています。

2023年の調査では非正規雇用者数は役員を除く雇用者の約4割を占めており、増加している状況です。

つまり、時間の都合が合うときだけ働きたい求職者を上手に取り込むことができれば、物流業界の人手不足を解消する糸口になるのです。

人材確保を内製化すると、自社が保有する人材データから「1日だけ働ける人」「急な欠勤の代わりに対応できる人」などをすぐに探せます。

例えば、人手不足でなかなか進まない倉庫作業や事務作業の補助を1日単位で雇用できるため、必要なときに必要な人材を活用しやすくなるでしょう。

外部からの採用のみに依存すると採用できなければ次に進めませんが、内製化することで時間と費用を抑えなから柔軟な働き方をしたい人を有効活用できます。

参考:公益財団法人生活保険文化センター「非正規雇用者はどれくらいいる?」

4-2.自社の業務を熟知しているOBやOGにもアプローチできる

人材確保を内製化できれば、自社の業務を熟知しているOBやOGにもアプローチできます。

高齢者は新しい職場で1から仕事を覚えることに、ハードルを感じる傾向があります。

一方で、慣れ親しんだ職場なら抵抗なく積極的に業務をしてくれることが多いです。

OBやOGも貴重な労働力として捉え、負担の少ない業務を依頼できれば、物流業界の人手不足をカバーできるでしょう。

例えば、定年退職時に今後の業務依頼について承諾を得て、必要なときに依頼をできれば、外部での採用活用に依存せず労働力を確保しやすくなります。

自社専用のマッチングシステム「matchbox plus」なら物流業界の人材確保に貢献できる

「物流業界の人手不足をカバーするための内製化はどのように始めればいいの?」「自社で人材確保すると業務が増えるのでは?」
という方におすすめなのが、自社専用のマッチングシステム「matchbox plus」です。

「matchbox plus」は企業が認める多様な人材が登録でき、自社でマッチングするシステムです。
必要なときに必要な人材とマッチングできるため、外部の採用に依存することなく、今必要な労働力を確保できます。
・1日短時間だけ人材確保したい・倉庫作業やライン作業で一時的に複数名の人材が必要になった・知識とノウハウがあるOBやOGに声をかけたい
という場合に、「matchbox plus」経由で人材確保が可能です。
雇用手続きや給与計算・支払いなどの労務処理もシステム内で自動化できるため、手間が増える心配がありません。
それだけでなく、自社内に人材のデータベースを蓄積できます。
OBやOGはもちろん、派遣やパートで短期間携わった人材や単発バイトで携わった人材などをデータとして保有できるため、人材の有効活用がしやすくなるでしょう。
実際に「matchbox plus」では即戦力としてOBやOGを活用し年間80,875時間の労働力を確保した事例や、他店舗とシフト共有をすることで170名の従業員が追加勤務の希望を出せるようになった事例があります。
今まで有効活用できていなかった眠れる労働力を掘り起こし、人手不足の解消に貢献します。「matchbox plus」について詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

5.まとめ

今回は、物流業界が人手不足に陥っている原因と改善策をまとめてご紹介しました。

最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇物流業界が人手不足に陥っている主な原因は次の5つ

原因1.時間外労働時間短縮により運送能力不足に陥っている

原因2.ドライバーの高齢化が進んでいる

原因3.求人はあるものの採用できる人材が少ない

原因4.宅配貨物の増加により負担が増えている

原因5.属人化している業務が多い

〇物流業界の人手不足は今後加速していくと考えられている

〇物流業界の人手不足を改善するには「就労条件」と「業務効率化」が鍵となる。具体的な改善策は次のとおり

1.求人の応募条件の見直しをする

2.育成制度や給与アップの基準を明確にする

3.3Kのイメージを払拭できるアピールポイントを用意する

4.業務効率化ツールを活用する

5.運送ルートや拠点の見直しをする

〇物流業界の人材確保は外部に依存するのではなく内製化が必要な理由は次の2つ

1.柔軟な働き方を望む人材を取り込める

2.自社の業務を熟知しているOBやOGにもアプローチできる

物流業界の人手不足は、早い段階での改善が重要です。

慢性的な人手不足を回避するためにも自社専用のマッチングシステム「matchbox plus」をご活用ください。

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